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今年もOnから目が離せない!

共同創業者のキャスパー・コペッティ氏と最高執行責任者のマーク・マウラー氏がOnの最新モデル、クラウドフラッシュの魅力を語る。

世界中のランニングシューズマーケットにおいて急速にシェアを伸ばすOn。昨年11月のニューヨークシティマラソンのエクスポではニューモデルのクラウドフローを先行販売。世界屈指の人気大会に集まったランナーから高い評価を得ることに成功している。そして2月にドイツ・ミュンヘンで行われた世界屈指のスポーツ見本市であるISPOにおいて、クラウドフラッシュが最も栄誉ある「プロダクト・オブ・ザ・イヤー」を獲得したが、2017年2月23日の東京マラソンエクスポでは、世界に先駆けて、この最新モデルであるクラウドフラッシュを先行発売。日本市場の重要性を再確認することになった。今回、東京マラソンエクスポのタイミングで来日したキャスパー・コペッティ氏とマーク・マウラー氏に、最新モデルであるクラウドフラッシュの魅力を編集長・南井正弘が聞いた。

南井正弘(以下南井):まず、クラウドフラッシュのISPOにおけるプロダクト・オブ・ザ・イヤーの獲得おめでとうございます。まだ発売されていないプロダクトがこの栄誉あるタイトルを受賞するのは珍しいと思うのですが。

キャスパー・コペッティ(以下キャスパー): ありがとうございます。クラウドフラッシュはまだ発売されていないプロダクトですが、実はリオオリンピックでOnのアスリートがすでに着用していたので、世の中に全くお披露目されていなかったかというと、そうではないんです。発売はまだでしたが、女子のトライアスロン競技で銀メダルを獲得したニコラ・スピリグ(スイス)らが、このシューズの機能性の高さを証明してくれました。

南井:日本で先行発売するのはなぜですか?

キャスパー: 世界発売は4月6日ですが、それよりも6週間ほど早い東京マラソンエクスポで先行販売することにしたのは、日本人ランナーは速いペースで走ることのできるシューズが好きで、日本はそのマーケットが大きいですからね。

南井:マークさんの役職を教えてもらっていいですか?

マーク・マウラー(以下マーク):私のOnにおける現在の役職はCOO、すなわち最高執行責任者であり、会社のオーナーの一人です。担当としては製造、サプライチェーン、お客様に幸せを届けるハピネスデリバリーです。Onではカスタマーサービスのことをハピネスデリバリーと呼んでいるんですよ。

南井:かなり速いランナーであると聞いたのですが、フルマラソンのベストタイムは?

マーク:2時間45分で、2014年のベルリンマラソンで記録しました。

南井:今回のクラウドフラッシュを開発するにあたって、マークさんとキャスパーさんが心掛けたことはありますか?

マーク:開発は創業者の一人で、世界的なトライアスリートであったオリヴィエ・ベルンハルドが担当しているのですが、私たちが彼に言ったのは「製造コストを気にしないで、最高のプロダクトを作ってくれ!」ということですね。

キャスパーまず考えたのは、ミッドソールのないシューズを作ろうということです。これは私たちの長年の夢でした。アッパーとアウトソールだけで構成されるということですね。ゼロ・グラヴィティ・フォームの部分は、EVAと品質の高いラバーを組み合わせることによって、非常に反発性の高いソールユニットが誕生しました。さらにスピードボードには反発性と剛性に優れるペバックスを使用し、着地から蹴り出しまでの動きを効率よく行ってくれます。さらにインソールにはメモリーフォームを、アッパーにはインナーメッシュとナノメッシュを組み合わせてフィット感と通気性を高めるなど、数々の未来のテクノロジーを現代のシューズに結集することができていると思いますよ。

南井:今、ミッドソールのないシューズという発言がありましたが、まだアッパーの下に薄い層があると思うのですが…

マーク:この層は、アッパーがフィット感を高めるのに必要な曲線を描くために不可欠なのです。アッパーとスピードボードを直接合体させると、アッパーの底面が曲線を描けず、充分な足裏のフィット感が得られないのです。この層はミッドソールとは若干異なるものですね。

南井:クラウドフラッシュとクラウドレーサーの違いはどのあたりにありますか?

キャスパー:クラウドレーサーは今後も継続させます。クラウドフラッシュは価格に関係なく最高のランニングシューズを求めるランナーのために開発しており、クラウドレーサーよりも軽量化に成功しています。それとランナーのレベルに関わらず、レースの途中で脚力が低下してきた際にペバックスのスピードボードは、その高い反発性で着地から蹴り出しまでの動きをサポートしてくれます。この高い機能性を実現するために、世界で最も高価なレーシングフラットのひとつとなっていますが、ランナーが本当の意味で勝負したいときのために開発しました。例えば、これまでフルマラソンのベストタイムが3時間05分のランナーが2時間59分59秒で走ることを目指すようなときですね。クラウドフラッシュはレベルを問わず、そんな特別な舞台で履いてほしい1足なんですよ。

南井:トライアスロンでランのパートは最終なので、ヘロヘロの状態で走ることになると思うのですが、Onのこれまでのシューズも多くのトライアスリートから「どのブランドのシューズよりもOnのクラウドテックが走りを助けてくれた」という声があります。今回のクラウドフラッシュは、これまで以上にランのパートを助けてくれそうですね。クラウドレーサーとクラウドフラッシュの用途に違いはありますか?

キャスパー:Onの場合は、あまりシューズをランナーのレベルやペース、距離で区分したりしないのですが、あえていえばクラウドレーサーは10kmやインターバルトレーニング、クラウドフラッシュはハーフマラソンやフルマラソンのような長い距離に向いているような気がします。あとクラウドフラッシュはクッション性が増しているので、クラウドレーサーよりもランナーの間口が広がっていると思います。

南井:お二人にお聞きしますが、クラウドフラッシュをひと言で表すとしたらどんな言葉になると思いますか?

マーク:WOW!

キャスパー:FLASH!

マーク:最初のサンプルシューズを受け取ったときに、その後ミーティングがあったので「15分ぐらいでランニングは終えよう!」とオリヴィエと話していたのに、履いた瞬間に二人で「WOW!」と言って20kmくらい走ってしまったんですよ。あまりに走り心地がよくて。

南井:最後に日本のランナーにメッセージをお願いします。

キャスパー:日本のOnを履いてくれているランナーは、非常に我々のブランドのことを大事にしてくれていると思います。本当にありがたいことです。私たちはこれからもさらに走ることの楽しさを伝えていきたいと思います。

マーク:自分が言おうとしたことを言われてしまいました。自分も全く同じことを言おうとしたんですよ。同じブランドの人間だから同じ方向性で活動しているのですね(笑)

キャスパー・コペッティ
ザンクトガレン大学にて経済学博士号を取得後、友人のオリヴィエ・ベルンハルド、デイビッド・アレマンと共に、2010年スイス・チューリッヒにOnを創業。Onは現在最も勢いのあるランニングシューズブランドとして知られ、2016年から展開を始めたランニングアパレルも高い評価を得ることに成功している。世界中を飛び回るなど多忙を極めるが、アウトドアスポーツに親しむことも忘れず、今回の来日時には北海道にも滞在。北海道でスノースポーツや食文化を堪能した。

マーク・マウラー
世界各国で躍進を続けるOnのCOO(Chief Operating Officer)最高執行責任者であり、オーナーの一人。製造、サプライチェーン、そしてOnではハピネスデリバリーと呼ばれるカスタマーサービスを担当している。フルマラソンで2時間45分という自己記録を持つランナーでもあり、スポーツシューズに使用される素材、製造工場の情報にも造詣が深い。

編集後記

昨年に続いて東京マラソンエクスポのタイミングで来日したキャスパー・コペッティ氏。昨年のインタビュー時と比較しても、Onというブランドは急速に成長しているのはご存じの通り。去年、「本当の意味で納得のいくものが完成するまでアパレルは展開しない」と語っていたが、実際にリリースされたアパレルはその高い機能性で多くのランナーを魅了している。今回はCOOのマーク・マウラー氏にも話を聞くことができたが、一番印象に残ったのが、クラウドフラッシュを開発するにあたって、彼が創業者の一人で開発担当のオリヴィエ・ベルンハルド氏に「製造コストを気にしないで、最高のプロダクトを作ってくれ!」と言ったという話。全社一丸の協力体制の下、世界屈指のスポーツ見本市であるISPOにおいて、最も栄誉ある「プロダクト・オブ・ザ・イヤー」を獲得する名品が誕生したのである。