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ランナーズパルス編集長が
海外マラソンの魅力について語った

Photo_Hiroshi Mashimo
Text_Akiko Soga

4月19日の夕暮れから行われた"H.I.S.×ランナーズパルストークショー"、この日のテーマは「海外マラソンの魅力に迫る」。参加者たちはオーストラリアワインやコーヒーを片手にリラックスした雰囲気のなか、ランナーズパルス編集長南井正弘とゲストの大杉亜依里さんのランナーズトークに聞き入った。

ランニング、そして海外マラソンを始めたきっかけ

ーまずはお2人にランニングを始めたきっかけからお伺いしたいと思います。

南井正弘(以下南井):僕の場合は、2003年頃からスポーツジムに通い始めたんですけれど、最初は筋トレばかりしていたので体がゴツくなり過ぎてしまって。では有酸素運動も始めようと思ったことがきっかけです。2007年の11月から走り始めて、以来ほぼ毎日走っています。24時間のどこかで6km走るというのが僕のスタイルです。

大杉亜依里(以下大杉): 私は2010年とかだったかな? 部活の友達と「明後日、井の頭公園を10km走るイベントがあるから出てみない?」って、勢いだけでソフトテニス部の仲間と一緒に参加したのが最初です。でもいざ出てみたら負けず嫌いの集まりだから、初めて10kmも走るというのに誰ひとり途中で歩かない。誰も止まらないから私も必死で走り切って、もうめちゃくちゃ辛かったんですけど、それがけっこう面白くって。そんな話を事務所でしたら「じゃ、マラソンの仕事があるからやってみる?」ということでTokyo Girls Runというチームに入ることになり、ランニング人生が始まりました。

ー大杉さんはその後、海外マラソンにも出られるようになったんですよね?

大杉: はい。Tokyo Girls Runではハワイを走りましたし、個人的にも私はすごくサッカーが好きで、特にイギリスのマンチェスター・ユナイテッドが大好きなので、マンチェスターのスタジアムを見ながら走るというとてもマイナーなマラソンにも参加したりしています。

ー南井さんの初めての海外マラソンは?

南井: ラスベガスです。ほぼ毎日走るようになって3週間くらいが経ったとき、ふと大会に出てみたくなったんです。でも今日いらしているみなさんもご存知の通り、日本の大会ってなかなか出られないじゃないですか。クリック合戦だったり、抽選があったり。そんな中ですぐに出られる大会を探していたらラスベガスを知って、急遽ラスベガスに飛んでハーフを走ったのが僕の海外マラソンデビューです。

ランナーズパルス編集長・南井氏オススメの海外マラソンBest 8

①グアム/ココロードレース

ーそれではここからは海外マラソンマスターでもある南井さんに、オススメの海外マラソンについてご紹介いただきたいと思います。

南井: まずはグアムのココロードレースです。このマラソンの良い点はとにかく日本から近いということ。そしてレースが日曜日の朝に開催されるので、サラリーマンの方でも会社を休まずに参加できます。金曜日の仕事が終わったら深夜便に乗って約3時間でグアムに到着。土曜日に調整して、日曜日にレースに出て、そのまま夕方から夜の便で帰ってくれば、月曜日の朝から何食わぬ顔して出社できちゃうんです。あとこの大会はハーフと駅伝があって、駅伝であればひとり5kmくらい走るだけで海外マラソンの雰囲気を堪能できる。仲間との親睦も深まりますし、走った後はみんなでホテルのプールにどぼーん! って、最高でしょ(笑)。

大杉: 最初に駅伝を走るのってすごくいいですよね。Tokyo Girls Runでも駅伝をやったんですけど、仲間との絆も深まるし、自分自身もチームのために頑張って走ろうってやる気も出ます。

南井: そうなんです。ココロードレースの駅伝は全く同じコースを4人が走るのでスタート&ゴールにはチームメイトが待っていてくれるから特に走りがいがあります。時差もなく、ハーフor駅伝のファンなレースなので、海外マラソンが初めての方にはいちばんオススメしている大会ですね。

②ハワイ/ホノルルハーフマラソン・ハパルア

ー次は最近、認知度が高まってきたホノルルのハーフマラソン・ハパルアです。こちらも海外レースデビューにオススメだそうですね?

南井: 僕は3年連続このハパルアを走っているんですけれど、何がオススメってこのハーフマラソン、通常のホノルルマラソンだと途中に来る延々と高速道路を走らなくてはならないつまらない区間がばっさりカットされていて、美味しいところ取りのコース設定になっているんです。

大杉: 私もハパルアは走っていますが、本当に景色が良いところばかりなんですよ! アラモアナやアロハタワーのあたりを走って、ゴールがダイヤモンドヘッドという。

南井: スタートはデューク・カハナモク。そして完走後にはシェイブアイスやマラサダが振舞われてね。最後のダイヤモンドヘッドの坂を登っているときは毎回、頭の中がマラサダでいっぱいになっています(笑)。

大杉: これがめちゃくちゃ美味しいんですよね?! 大会特製レシピのマラサダらしいですよ。

南井: あともうひとつオススメの点は、大会が行われるのが春休みとゴールデンウィークの間の4月なのでとにかく旅費が安い! かなりお得な価格設定で参加できるという実感があります。

大杉: 女子的な目線で言えば、旅費が浮いた分、ショッピングに回せるのも嬉しいですね。そしてハーフマラソンなので疲労度も軽いからショッピングへのエネルギーも残っている。良い大会です♪

③アメリカ/ロサンゼルスマラソン

南井: ロサンゼルスマラソンはコースの設定がもう最高! ドジャースタジアムをスタートして、手形で有名なハリウッドのチャイニーズシアターを通って、ビバリーヒルズを抜けて、ゴールは海を見ながらのサンタモニカ。ひと通り走ったら、もうロサンゼルスをしっかり観光したと言えちゃうくらいのコースなんです。それでいてぎりぎりまでエントリーできるのも魅力ですね。レースの前日にエキスポにゼッケンを取りに行ったりすると思うんですけど、その会場でもまだエントリー可能な年もあったりします。だから"急に仕事のスケジュールが空いたから走ろう"なんて勢いでも行けちゃうのが嬉しいんですよ。

大杉: 走っているときの街の雰囲気はどんな感じですか?

南井: 応援も多くて、アメリカっぽいファンな雰囲気ですごくいい感じです。あともうひとつ嬉しいのが、37kmくらいに日本人の商工会議所のエイドがあってアンパンやヤクルトがあるんですよ! 残り5kmくらいで心が折れそうなところにこれは元気が出ます(笑)。

大杉: 海外のレースではエイドが美味しくなかったり、日本人の口に合わなかったりして辛いことがありますが、これはポイント高いですね!

④アメリカ/ロックンロールマラソン・ラスベガス

南井: 僕が好きなラスベガスの大会はロックンロールマラソンっていう世界中を転戦しているシリーズのひとつで、他にもシアトルやサンディエゴ、アリゾナなどのアメリカ各地やヨーロッパのスペインなどでも開催されています。その中でもラスベガスは夜に走るレースになっていて、有名なホテルやカジノが建ち並んでいるあのストリップ大通りを抜けていくコースなんですけど、とにかく街中のライトアップがまばゆくて華やかで、めちゃくちゃテンション上がります! 沿道の至るところでは音楽が演奏されていて、THE ラスベガス! ロックンロール! という感じ。メダルがすごく豪華なのもラスベガスらしいですよね。

大杉: 夜のレースということですが、気温などはどんな感じですか?

南井: 大会が開催されるのが12月なので、この時期のラスベガスはダウンジャケット着てる人もいるんですけれど、僕が走った年は40年に一度と言われるくらいの暖冬だったので夜でも20度を超えていてけっこう暑かったかな。

⑤フランス/メドックマラソン

南井: フランスのメドックマラソンは30カ所以上の給水所でなんと高級ワインが出るという、ランナーだけでなくワイン愛好家の間でも有名なレースです。コースも普段は入れないシャトーに入ることができたり、葡萄畑の間を走ったりします。あと、この大会は毎回テーマが決まっていて、僕が出た30回記念大会のテーマは"フェスティバル"。ということで、日本からカタカナとフランス語で「メドックマラソン」と入れた半被を作って持って行って、これを着て走りました。ブラジル人はサンバカーニバルの衣装だったり、アフリカの人たちは民族衣装だったり、それぞれに祭りを表現した格好をして楽しんでいましたね。

大杉: このメドックマラソンではワインの他にフランス料理のフルコースかのようなエイドも出るって聞いたことがあるんですけれど、本当ですか?

南井: トータルでそうなっているってことですね。38km過ぎには生牡蠣と白ワイン、39km付近ではステーキが出てきて、ここではしっかり赤ワインが添えられていて。ワインもエイドもそれはそれは美味しかったです。

大杉: ワインを飲みながらでも走れちゃうものですか?

南井: 僕は走りながらでも意外とけっこうしっかり食べて飲めちゃいました(笑)。ただコースはアップダウンがあってわりとハードだし、制限時間も6時間半に設定されているので、ある程度、練習してから行ったほうがレース全体を楽しめるかもしれません。完走するとワインが1本もらえるのも嬉しい特典です。

⑥キューバ/ハバナマラソン

南井: キューバはつい最近、アメリカと国交正常化をして、今、国が急速に変わろうとしています。そのため世界中の旅人のなかに"キューバに行くなら今だ"という機運があって、そんなタイミングでアメリカのランニングのフリーペーパーでこのマラソンがあることを知ったので、僕も"じゃ、早く行かないと!"と去年の11月にハバナマラソンに参加してきました。

大杉: キューバの風景、そしてコースはいかがでしたか?

南井: 街並みはスペイン時代のものやアメリカ時代の建造物が入り混じっていてカラフル。そして何より地元の人たちが子どもも老人もみんな目がキラキラしていて、応援も楽器を打ち鳴らしたりノリノリで、人々の表情がとても素晴らしかったのが印象的です。コースはハバナの観光名所や見どころを網羅するものになっているんですが、ただフルはハーフのコースを2周するだけなんで、タイム云々より景色や雰囲気を楽しみたくて行かれる方は……フルは走らなくていいかも(笑)。

⑦アメリカ/ニューヨークシティマラソン

南井: 世界中の市民ランナーの憧れと言えばニューヨークシティマラソンですよね! 僕も2回走っているんですけど、これまで出た大会でどこが一番良かったかと聞かれたら、間違いなくこのNYだと答えます。スタッテン島をスタートして、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、マンハッタンのニューヨーク市のすべての行政区を走ってセントラルパークでゴールするんですけど、応援が本当にすごい。その数、200万人とも300万人とも言われるくらいの人々が沿道を埋め尽くしていて、ものすごい声援なので、走っている最中は自分がヒーローになったかのような気分になれます。あまりに気分が良すぎてゴールしたくないくらい(笑)。スタート会場ではスポンサーのダンキンドーナツが無料でフリースキャップやドーナツ、コーヒーを配っていたり、走り終わると防寒用のポンチョをもらえるセレクトがあったり、そういうのも楽しみのひとつです。

ーエキスポ会場の様子はいかがでしたか?

南井: エキスポもこれまで出た大会のなかではいちばんすごいです。会場面積も広いし、ブランドも勢ぞろいしているし、確実に東京よりすごいですね。

⑧オーストラリア/シドニーマラソン

南井: シドニー・ハーバー・ブリッジを渡ってシドニーの市街地を走り、かの有名な世界文化遺産でもあるオペラハウスがゴールになるレースです。この橋は普段は自動車専用道路なので、シドニー在住の人なんかはここを走りたいがためにエントリーする人も多いとか。東京マラソンで言えば銀座を走り抜けているときのようなスペシャル感に似ているのかもしれないですね。しかしコースはアップダウンがすごいですよ?!(笑)。ハーフで獲得標高が500m超えています。ただ景色も綺麗だし、シドニーの人気エリアを走れるので楽しい大会です。

大杉: 私もこの1月に"世界ふしぎ発見!"のロケでオーストラリアに行ったんですけど、真夏にも関わらず街中を走っている人が本当に多かったのが印象的でした。スポーツが盛んな国なのでマラソンのレースも各大会、とても盛り上がっていそうですね。

7月開催! オーストラリア・ゴールドコーストマラソン

ーシドニーのお話が出たところで、今度の7月には同じくオーストラリアでゴールドコーストマラソンが開催されます。こちらには大杉さんがゲストランナーとして出られるということですので、ぜひ意気込みをお聞かせください。

大杉: オーストラリアには行ったことがあるのですが、ゴールドコーストには行ったことがないのですごく楽しみです。マラソンに関してはゴールドコーストのコースはわりと平坦で走りやすいということを聞いていますので、3時間半を目指している私には気合を入れて走っちゃおうかな!? とかそういう楽しみ方もできそうでワクワクしています。フルマラソンは久しぶりなので次のステップのためにもいい刺激をたくさん受けてきたいと思います。

ーゴールドコーストマラソンはアップダウンのとても少ない平坦なコース、そして朝7時のスタート時点で気温9度とかなりの好条件が揃っているので、完走者の6割が自己ベストを更新するというデータもあります。

大杉: 本当ですか!? うわぁ、それは狙っちゃいたくなりますね(笑) 。

ー長い海岸線に沿ったコースなので、海を眺めながら走れることでも人気です。種目もフル、ハーフはもちろん10km、5.7km、お子様向けのジュニアダッシュなどもあります。今年も谷川真里さんがゲストランナーで、川内優輝選手ももう何年も連続でご参加されていますよ。

南井: 僕もゴールドコーストには行ったことがないので、話を聞いて俄然興味が湧いてきました。シドニーもそうですが、オーストラリアは時差が1時間なので体が楽ですし、ご飯も美味しくて、治安も良い。こういった点も日本人ランナーにとってはかなりポイントが高いですよね。海外レースでは走ること以外にもその国ならではの景色や文化、そして新しい自分に出会えたりする楽しさがある。皆さんも機会があればぜひ海外のレースにもどんどんトライしてみてください!

ゴールドコーストマラソン2017
今年は7月1日(土)・2日(日)に開催!


2017年7月1日(土)・7月2日(日)にオーストラリア・クイーンズランド州で開催されるゴールドコーストマラソンは今年で39回目。毎年、国内外から約3万人のエントリーを集め、日本人ランナーにも親しまれている人気の大会だ。その理由にはコースが平坦で走りやすいこと、スタート時の気温9度(午前11時は16度)という気候の好条件があり、なんと完走者の6割が自己ベストを更新しているそう! 種目もフル、ハーフ、10km、5.7kmチャレンジ(ウォーク&ラン)、4km & 2kmジュニアダッシュとバラエティに富んでいるので旅行がてら家族や友人と参加しても。ビギナーから記録更新を目指すベテランまですべてのランナーが楽しめるゴールドコーストマラソン、さらなる詳細は下記よりチェック!

■ゴールドコーストマラソン公式サイト
http://www.gcm.jp/info.html
■ツアーで行くと便利で安心。H.I.S.ゴールドコーストマラソンツアー2017
http://sports-his.com/marathon/ool/index_ool.htm
☆H.I.S.ツアーのポイント
・日本にて開催する事前講習会が無料で参加できる
・現地にマラソン専用のツアーデスクを設置。朝食の受け取りやオプショナルのお申込みができる
・面倒なエントリーも代行可能。ゼッケン引き換えもツアーデスクでお渡しします
・スタート地点までバスでご案内。ゴール後もバスでの送迎付
・H.I.S.専用大型テントをフィニッシュエリアに設置し、ゴール後にゆっくりリカバリー出来ます

他、各海外マラソンのツアー情報はこちら
http://sports-his.com/marathon/

<プロフィール>
南井正弘
1966年、愛知県生まれ。スポーツシューズブランドに10年間勤務後、ライターに転身。現在「ランナーズパルス」編集長を務めるほか「フイナム」「Number Do」「モノマガジン」「日経トレンディネット」「SHOES MASTER」などの雑誌・ウェブ媒体において記事を執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」など。"楽しく走る!"をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。世界中のマラソンを走っており、今年3月にはイスラエルのエルサレムマラソンも走った。自己ベストはフル3時間56分09秒、ハーフ1時間38分55秒。

大杉亜依里
1989年、5月18日生まれ。タレント、モデル。TBS系「日立世界ふしぎ発見!」ミステリーハンター、毎週金曜午後9:00から生放送スカパー!「スカサカ!ライブ」に副編集長としてレギュラー出演中。スカパー!「コパアメリカチャンネル」アシスタント、スカパー!「UEFAチャンピオンズリーグハイライト」リポーターとして活躍中。2013年よりTOKYO GIRLS RUN supprted by 'TORAY' 2期生メンバーとして本格的にマラソンを開始し、初出場のフルマラソンでいきなりサブ4を達成。趣味はマラソンとサッカー観戦。イングランドのマンチェスター・ユナイテッド好きが高じて2015年にはマンチェスターマラソンも走った。自己ベストは3時間43分13秒。

トークーショーでは、ペルノ・リカール・ジャパンよりオーストラリアワインが提供された